1.賃金診断
対象従業員の全員の賃金額と年齢・(その他属人要素・・家族構成等賃金に影響する要素)を一覧にし、現賃金から手当を除いた基本給を割り出しプロット図を作成します。プロット図により階層別に多く集中しているところがないか、性別で格差がないかなど改善すべき点がないかを確認します。 →プロット図例
2.全体の決定
目指すべき賃金モデル者(40才課長等)の賃金額から18才の初任給額の差額をそのモデル勤務年数で割って1年あたりの昇給額を算出します。 その昇給額を年齢給と職能給の昇給額の割合を決定します。
3.年齢給の決定
モデルの40才で保障する最低金額(最低生計費を上回る金額が原則)と18才の初任給額の差をモデル勤務年数で割ると1年あたりの昇給ピッチが算出できますので、そのピッチを基に、第一子第二子が共に大学に入学する年齢をピークに、結婚、出産等生活コストがかかる所の昇給額を検討し、従業員が安心して業務に専念できるように年齢給の昇給額を設定します。必要があれば55才以降子女が就職によって生活コストがかからなくなれば、年齢給を逓減していく設計も考慮すると効率的な賃金設計ができます。参考例を上げておきます。
→年齢給ピッチ図例
4.習熟昇給額と昇格昇給額
職能給は毎年定期昇給で上がる習熟昇給と、能力の高まりによって等級が上がる昇格昇給によって昇給が構成されます。(単一レートの場合は昇格昇給のみ)習熟昇給を多くすると年功給的になり、昇格昇給を多くすると職務給に近くなりますので、適切な配分が必要です。
5.年齢給と職能給の金額割合を決定する
初任給段階では能力もほとんど無いため 年齢給7:職能給3(あるいは8:2)程度とし、50才前後の年齢給職能給割合を4:6程度に設計をすれば、経験の低い時代は生活保障給の色彩が強いが、経験豊富な年代では能力で自らの賃金をつかみ取る賃金が形成され、能力主義が定着します。
・単一レートは職能給部分の定期昇給がないため、コストを抑えることには向いていますが反面、滞留期間が長期にわたると、生活設計がしにくくなったり、モチベーションの低下原因になり、生産性の低迷する恐れがあります。 号俸表は人事考課の反映がなく、年功的になりがちです。
・ 段階号俸表は定昇時に人事考課の影響を受けるため、日本の多くの職能資格制度でスタンダートとして長年使われてきました。しかしながら、過去の人事考課結果を積み上げるため、現在の能力水準と乖離が出ることを有り、減少傾向にあります。
・ 複数賃率表は、段階号俸表の欠点を是正し、人事考課の積み上げがないため、最近の職能資格制度では増加傾向にあります。 |